私が初めてグリーフケアの講座を受講したのは3年ほど前になります。
私が受講したのは「基礎編」でしたので、当然全てを学べたわけではありませんが、それでも私が今まで持ち続けてきた疑問について考える道筋を付けてくれました。
これから回数を分けて、そこで学んだことを抜粋していこうと思います。
まずグリーフ(Grief)の定義ですが、グリーフとは、『大きな喪失体験(主に死別体験)により身体や感情に影響をきたし、そのことで表れる反応』のことです。
“グリーフ”という単語で検索すると、「深い悲しみ。悲嘆。苦悩。嘆き」と出てきますが、厳密には感情のみを指すのではなく、結果として表れる反応のことだったんですね。
そして、心身に表れる反応の具体例としては、
①感情 : ショック、「こんなことが起こったなんて信じられない」といった不信感、悲しみ、怒り、罪悪感、恐怖、不安、苛立ち
②身体 : 睡眠・食欲の変化、喉や胸の締めつけ感、呼吸の浅さ、口の渇き、神経過敏、緊張、腰・首などの痛み
③認知 : 集中力の欠如、注意力散漫
④精神 : 今まで信じていたものへの疑い、生きることの意味の探求
などが挙げられます。
反応の①、②、③については理解できましたが、④についてはピンときません。
「今まで信じていたものに対する疑い」って、信じてたものなんて特に無いけどなぁ。
「生きることの意味の探求」って、それは別にグリーフがなくても考えることじゃないの。
疑問に思いながら聴いていると、グリーフの問題点が挙げられました。
問題点とは、
①喪失の痛み
②想定の世界の崩壊
③変化に対する適応(生活面、意識面)
の3点です。
①、③はいいとして、②はどういうことだろうか。「想定の世界」っていったい何?
いろいろと疑問に思いながらもとりあえず聞いていると、解説がありました。
「想定の世界」とは、「自分が今まで信じていた、”朝起きてご飯食べて・・・”といったごくごく普通の、当たり前に過ごしていた日常のこと」であると。
そのとき、ああ、そうかと思いました。
私たちは誰もが「きっと明日も今日みたいな日が来るんだろう」と信じて生きています。
そんなに特別でもない。極めて楽しいことやわくわくするようなことがあるわけじゃない。
平凡で、何気ない一日。それが、明日も明後日もその次も、ずっと続くはずだと信じています。
でも、ある日それが突然断ち切られるわけです。喪失体験によって。
私のケースで言えば、私は空との生活がずっと続くんだと思っていました。
犬が人間よりも寿命は短いことは十分分かっているけど、それでも、それは遠い未来のことであって、決して今ではない、と。
だから、空がいなくなった世界を想像だにしていなかったのです。
空の死によって、「きっと明日も今日みたいな日が来るんだろう」その信頼が一気に崩れ去ったのです。
まさに「想定の世界の崩壊」です。
同時にそれは、「心身に表れる具体例④」の「今まで信じていたもの(=「明日もきっと今日みたいな日が来るんだろう」)に対する疑い」のことでもあるのでしょう。
続きは次回。
ではまた。